トロロアオイを農家・職人と生産する「わしのねりプロジェクト」始動中

〜南国の日差しから生まれる影美〜本場奄美大島紬


着物のなかでも認知度の高い「大島紬」は、奄美大島(鹿児島県)が本場生産地(発祥の地)とされている絹織物で、本場奄美大島紬(地域団体商標 第5012251号)は奄美群島内の組合員により生産された経済産業大臣指定伝統的工芸品「本場大島紬」のことです。

絹100%で人の手で織られることから、軽くてあたたかく着崩れせず、着込めば着込むほど肌になじむ着心地の良さと独特の色合いが特徴です。

古典柄では、泥染めという奄美大島の鉄分の多い泥田で染められた深く光沢のある黒色が特徴的で、「龍郷柄」「秋名バラ柄」が有名です。

約1,300年という日本で最も長い歴史をもつ着物

大島紬は、734年(天平6年)奈良東大寺の献物帳に記録されており、約1,300年の歴史を持つ着物です。
養蚕の適地である奄美大島では、古くから絹織物が作られていたようです。 染色は、本土で行われていた古代染色と同じ技法で、奄美に自生するテーチ木やその他の草木を使って行われていて、これが現在の本場奄美大島紬の、テーチ木と泥による染色のルーツとされています。
明治時代以前は、手紬糸を用いて地機で織られ、自家用として島民が着用していましたが、1720年(享保5年)頃、薩摩藩より『紬着用禁止令』が出され、大島紬は薩摩藩への貢物として作られるようになった歴史をもつ着物です。

提供:本場奄美大島紬NEXTプロジェクト

 

世界三大織物のひとつ 大島紬は緻密

大島紬は日本三大紬ともいわれていますが、ペルシャ絨毯、フランスのゴブラン織りに並ぶ世界三大織物のにも数えられています。
その理由は、先にご説明した約1,300年の歴史をもつこともそうですが、何といってもその緻密さです。
手にとって実際に見ていただくことが一番わかりやすいですが、先染めによる経(たて)糸と緯(よこ)糸の絣(点)で柄を表現しており、この技術により細かい柄を表現することができるのです。

 

平織り

 

約30〜40の工程ごとに職人がいるバトンタッチ製造

本場奄美大島紬は全工程ごとに職人がおり、すべての工程の職人が手作業で作り上げる着物です。
まずは形や色調などイメージを表現した原画と設計図を描く「図案」です。この図案にそって織る前の糸を染めるための準備で細心の注意を要する「絣締(かすりじめ)」を行い「染め」に入ります。
大島紬の「染め」といえば代表的なのが「泥染」。テーチと呼ばれる木の煮沸した液に繰り返し浸して染めあげた後に、今度は泥に何度も漬けて染め上げていくことで自然から生まれた渋みのある黒色に染め上がります。
そして図案に沿って染め上がったものを織りに適した調整加工を行い「織」に入っていきます。先染めである本場奄美大島紬は織りの段階で模様の目を合わせながら織り上げていきます。それにより世界で一番精密な織りを実現している反面、経糸と緯糸を狂いなく合わせながら織り上げていくという長い年月をかけて磨き上げた高い技術と長い月日がかかる作業が必要になります。この一連の工程に各職人が携わることで大島紬は生まれます。

本場奄美大島紬製造工程(提供:本場奄美大島紬NEXTプロジェクト)
本場奄美大島紬NEXTプロジェクトメンバーによる作業風景

手作業でしか味わえない風合いで一生着られる大島紬

着物は一生着られるものであり、機械編みのマフラーと手編みのマフラーで明らかに肌ざわりが異なるように、本場奄美大島紬はすべて手作業であることから肌ざわりの優しさや着れば着るほど体になじみ、歳を重ねるごとの体型の変化とともに美しいシルエットを描きます。また、色味が洋服で言うモード系のような落ち着きと気品を兼ね備えていることから歳を重ねるごとに大人の味わいを深めていきます。特に泥染めされた黒色の本場奄美大島紬は、きらびやかな環境であるほど着ている方をより一層引き立たせてくれます。

<本場奄美大島紬の特徴>

・絹100%で軽くてあたたかく、極上の肌触り。
・先染めであるため糸自体にしっかり染色され、奄美の泥で染める「泥染め」は化学染料では表現できない色合いに。
・緻密な模様を織りあげるのに、締機(しめばた)で手作業により経緯絣(たてよこかすり)及び緯絣を加工したもの。もしくは、手機(てばた)で経緯絣及び緯絣を絣合わせをして織上げたもの。

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