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【パリレポート】『Vanves 蚤の市』から見える日本文化への関心点

伝統工芸の魅力創生オンラインサロンメンバーでフランス在住の黒田さんによる、フランスにおける日本文化に対する関心や状況などの取材記事を今後アップいただけることになりました。
今回はフランスのマルシェや骨董市で日本の伝統工芸品を広めている方がいるとお聞きし、日本文化をどのような視点でフランスの方が見ているかも含めて取材した内容になります。

パリ14区のヴァンブ蚤の市に来ました。ここはパリ3大蚤の市(クリニャンクール、モントイユ、ヴァンヴ)の一つとして知られています。

地下鉄13番線の駅から数分歩くと骨董品商のスタンドが所せましと並んでいます。 通り沿いに 約300店以上のプロの商店が並び、18世紀の家具や置物、金物、宝石、絵画やポスター、オリエンタルやアフリカのオブジェなど、古今東西のいろいろなものが売られているようです。

無数の骨董品屋さんの中を歩き続けると、和物の品を売っているスタンドに出会いました。お店の方に少しお話を伺いました。このお店は日本の古物、骨董品を売っていて、店主のミコさんは20年ほど前からVanves蚤の市にいるそうです。扱っている商品は近年、欧米で人気が高まっている襤褸「ぼろ」を売っているとのこと。おおよそ200年前、明治時代頃の生地が折り重なって、現在の柄を形成している布だそうです。その中でも藍染の襤褸が多く、青色の濃淡が広がったスタンドは綺麗です。

襤褸の事をいろいろ調べてみると、近年は欧米でそのアートとしての価値が高まっており「BORO」という日本語がそのまま世界に広がっているようです。世界的に有名なファッションデザイナーがBOROを使ったコレクションを発表し、世界各国の美術館でBOROの展示会が開催されており、パリのギャラリーで展示された事もあるそうです。また英語圏の書物でBOROを自分で作るパッチワークの本が存在し、多くの人に既に知られているようです。どのような経緯でBOROが作られたのか、私なりに調べてみました。

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パリのBOROが好きな、ある仏人アーティストのサイトを読むと、「BOROは大量消費社会との反対方向に位置するもので、質素や謙虚という日本人文化の中から生まれた美である。またその不完全と、年月とともに折り重なった全ての要素を受け入れた美である。」と評していました。

確かにフランス人は古い物を重んじ、大量消費より環境や手作りを重視する傾向があるように私は思います。小さな布を捨てることなく、大切に柄の一部として取り込み、その全てが折り重なったハーモニーの美しさ。その模様の美しさとエコで歴史を感じる部分が、フランス人の考えに共感するのかもしれません。

 

一緒にお話をさせて頂いている最中に、マダムやムッシュが興味深そうに商品を見ている場面に遭遇しました。私が想像するにその方達は、ある程度日本文化に対して知識や関心のありそうな方のように思えました。もちろんそのような方だけではないですが、身なりも良く、芸術やデザインが好きそうな方が多い。

ミコさんに教えてもらったのですが、骨董品の買い物は購入者がこの商品を幾らぐらいで購入したいのか頭にあって、その尺度を持って買い物に臨むと良いそうです。確かに、その方が売っている方との交渉もうまくいきそうですね、

このスタンドには襤褸の価値が解るお客さんが集まるが故に、日本文化に精通した方が自然に増えているのかもしれません。

せっかくなので、企画屋かざあなで制作した大島紬の和紙ノートを見てもらいました。

緻密な模様が素敵で、手作りであるところから肌触りの良さや、やさしい質感を気に入って頂いたようです。やはり手作業や伝統技術であることがフランス人に気に入られるのではないかというお言葉をいただきました。

今回は、お仕事中にもかかわらず、気さくに話をして頂きありがとうございました。日本の古くからある物が、その美しや技術、コンセプトにより海外で再評価されていることを実感しました。

現在はフランスも日本と同様にコロナウィルスの影響があり、普段の生活や商業活動に制限があります。今年日本に旅行予定だったがキャンセルになった方の話もよく聞きます。とはいえ、日本文化への関心は薄れるどころか、高まっているようです。

 

ミコさんのお店の情報を知りたい方はこちらのインスタグラムを見てください。Miko(@mikovanves) – Instagram