ハンコ市場は大きな転換期を迎えている。
新型コロナウイルスによるテレワーク化、非接触化が進み、ハンコはデジタル印鑑でネットの世界で済ませるというながれになってきています。
もともと、公的な書類には印鑑は必須のアイテムであったが、公的機関でさえ印鑑のない手続きが始まっています。
そんななか、創業1921年の老舗ハンコ店・有限会社文福堂印房(所在地:東京都品川区)は、外国人に人気の忍者・サムライ・着物女性のイラストに名前が入る【HANKO JAPONISM(以下 ハンコ・ジャポニスム)デジタルスタンプ】の販売を開始しました。
本商品は、デジタルスタンプで300ピクセルの高品位デジタルファイルでデザインは10点、それぞれ2通りの配色パターンがあり、合計20種類の中から選べ、スタンプ中央下部に名前が入れられるとのこと。
活用としては、SNSのプロフィール画像にしたり、メール本文に署名代わりに貼り付け、文書や手紙に挿入などに使えます。
社長松崎さんによると、
「創業以来100年製造販売し続けてきたハンコが、突如として社会から『不必要』の烙印を押されたかのようで、まずは精神的に打ちのめされました。そして現在は経営的にも苦境に立たされています」
「同社は2017年に漢字とアルファベットの両方が入る【デュアルハンコ】を発売、外国人観光客に人気の商品となりましたが、新型コロナの影響で売上が激減しました。そこで2020年、同品のデジタル印鑑発売し、これまでアメリカ・イギリス・カナダ・クウェート・スペインなど、世界各国から注文を受けてきました。
中には思わぬ注文もあったと松崎社長は言います「遠くカナリア諸島にお住いのスペイン人のお客様から、それも漢字だけのデジタル印鑑をご注文いただきました。聞くとその方は現地で武術道場を開いていて、練習生の段位証明書に捺印したいとのことでした。広い世界には私たち想像を超えたデジタルハンコの需要があると知り、大いに驚き、また勇気づけられました」
と話します。
今回の【ハンコ・ジャポニスム デジタルスタンプ】の開発も、海外からの要望がきっかけでした。「お客さんは買いたくても日本に来られない。郵便事情や送料の問題もあって、私たちも日本から送りづらい。だったらデジタル化するしかない」松崎社長は決意したそうです。
また、松崎さんはこう結びます「ハンコ店を取り巻く経営環境は厳しさを増すばかりですが、できればこの困難を『明るく・楽しみながら』乗り越えたい。それには従来の枠にとらわれない新たな発想やアイデアが不可欠です。これからも国内外を問わず、お客様に「欲しい」と思っていただける製品を世に出していきたいと思っています」
どの業界も今までとは異なった歩みをしていかなければならない時代のなか、創業100年の企業でも新たなチャレンジがはじまっています。
変化を恐れず、海外の方からの視点を汲み取って自身を適応していくことが必要かもしれません。
■商品概要
・300ピクセルの高品位デジタルファイル
・ネットショップ