公益社団法人京都染織文化協会(京都府京都市下京区)は、創立80周年を記念して、昭和初期に作られた復元時代衣裳を用いた着装展示によって日本女性の服装の変遷を見て頂く展覧会を、文化学園服飾博物館(東京都渋谷区代々木)にて7月15日(木)から9月28日(火)まで開催します。
染織業界挙行の染織祭
平安建都以降、貴族や武家、そして裕福な町人の華やかで贅沢な衣生活を支えたのが、都の工人たちでした。
応仁の乱で京が一時灰燼に帰すことがあっても、工人たちはこうした苦難を乗り越え、新たな染織技術を次々に生み出して現代に至っています。しかしその間、京都の染織が一時期低迷した時期もあり、昭和6年(1931年)、京都の染織業の振興を図るために京都染織祭が行われました。
染織祭は、昭和6年(1931年)4月に行政と染織業界により挙行された祭りです、第3回染織祭(1933)より時代衣裳を着た芸妓が街を練り歩く女性風俗行列が加わり、ピーク時は約30万人が見物し、当時は葵祭・祇園祭・時代祭と並ぶ「京都四大祭り」と謳われました。
染織祭の衣裳は、女性時代風俗行列のために制作された上古時代~江戸時代末期にわたる143領の時代衣裳で、祭りの名にちなんで「染織祭衣裳」と呼ばれています。
時代祭で行われていた支配階級の男性時代装束行列に対抗して当初は大衆行列が構想され、京都で活躍する有職故実等の研究家たちによって時代考証が行われたが、高度な染織技術を発揮するために、庶民から支配階級まで身分の幅を広げ、女性の時代風俗を再現されました。
今では、戦争により中止を余儀なくされ、染織祭の運営組織である染織講社は、祭りの復興叶わずその役目を終え、染織祭衣装は本部のあった平安神宮に保管されています。また、昭和26年(1951)、染織祭衣装は京都織物卸商協会(現:公益社団法人京都染織文化協会)に譲渡され、現在は協会により保管されています。
本展覧会では、当時の京都の染織技術を結集して復元された、古墳時代から明治時代初期に亘る女性の衣服を展示して日本の女性の服装1500年をたどるとともに、文化学園服飾博物館所蔵の江戸時代後期から昭和時代初期の優品を通して、京都の染織技術の真髄を感じることができます。
■展覧会の3つの特徴
- 古墳時代から明治時代初期までの女性の服装をマネキン着装で展示。
- 文化学園服飾博物館所蔵の江戸時代から昭和時代前期までの貴重な時代衣裳
- 会期中、京都の染織職人による実演とワークショップ、講演会を実施
開催名:再現 女性の服装1500年─京都の染織技術の粋─
開催場所:文化学園服飾博物館(東京都渋谷区代々木)
開催日時:2021年7月15日(木)〜9月28日(火)
10時〜16時30分、休館:日祝・夏季休暇日
入場料:一般500円、大高生300円、小中生200円
主催:公益社団法人京都染織文化協会・文化学園服飾博物館
後援:京鹿の子絞振興協同組合・京都刺繍協同組合
詳細:https://www.fashion-kyoto.or.jp/orikyo/80th