11/30・12/1・2 手漉き和紙絵巻『鳥獣戯画〜手漉き和紙ができるまで〜』展開催

鳥獣戯画に捺された高山寺の朱文長方印再現へ 

鳥獣戯画甲巻に捺されている朱文長方印

鳥獣戯画の紙継全てに「髙山寺」の朱文長方印が捺されています。

実は5種類もの印があることがわかっています。

全巻で、213箇所に印が捺されており、そのうち109箇所に捺されているものが一般的によく目にするものになります。

そのサイズは横1.8cm,縦4.6cmのものになります。

5種類とも同じサイズのものはなく、紙継した際に捺されたものや修理後に捺されたものとされています。

通常、はんこ(印章)は、作品の作者や所有者、もしくは後世における評価や保存者の署名としての役割を果たします。

しかし、鳥獣戯画は作者がわかってなく、また複数の作者が描いた紙を高山寺に伝来し繋ぎ合わせたと考えられており、高山寺が保存者としての役割を果たすために捺されています。

朱文長方印の再現へ

手漉き和紙絵巻「鳥獣戯画〜手漉き和紙ができるまで〜」の制作にあたり、国宝鳥獣戯画を所蔵する髙山寺からこの絵巻の紙継に印を捺すにあたって、国宝鳥獣戯画に使用された印を再現してみようという話になり、制作に取り掛かりました。

朱文長方印は、平成21年にから4年4ヶ月の修理が行われた際に細かく調査されています。
その調査結果については、「鳥獣戯画 修理から見えてきた世界 国宝 鳥獣人物戯画修理報告書」にまとめられています。今回再現する朱文長方印は、この修理報告書をもとに、全巻でいちばん捺されている印を再現することにいたしました。

再現を担当したのは、長野県小諸市にある判光堂印舗(はんこうどういんほ)の大柄富義さんになります。

大柄さんは、長野県一級技能士競技会一位、大阪府印章技術展覧会で金賞など、「唯一無二」を理念に手彫りによる印章彫刻技術を日々磨き上げています。
その域は、既に印鑑を超え版画、木彫りアートの領域まで到達しています。

印鑑といえば、石や象牙のイメージがありますが、髙山寺の細い線や細かい彫り込みでは、木でないと難しいとのことから、木材の中でもとても硬い「つげ」を使用することになりました。
今では、この大きさの木彫り印は少なくこのサイズの「つげ」が手に入るか難しいとされましたが、見つけることができ彫っていただくことができました。

印のサイズに合わせて、木枠で固定し彫りあげていきます。
書体から枠線の太さまで再現いただきました。この細い線は石などで制作すると押す力により欠けてしまいますが、つげは粘りがあるため欠けにくく、材質のキメが細かく印鑑ならではの味わい深さを感じることができるそうです。

写真左は鳥獣戯画に捺されているものになり、右側が今回制作したものになります。

いかがでしょうか。

巻物に捺される日が楽しみです。

判光堂印舗
〒384-0025長野県小諸市相生町3-1-6
TEL:0267-22-0739 FAX:0267-24-0739
営業時間: 9:00~17:00
休業日:日曜

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。
error: Content is protected !!