11/30・12/1・2 手漉き和紙絵巻『鳥獣戯画〜手漉き和紙ができるまで〜』展開催

デザイン思考とアート思考のちがい

「デザイン思考」というと、商品開発などで多く聞かれるかと思います。

商品は生活や仕事、社会における何かに役に立ち解決するものです。

ものごとを解決していくには、必ず「課題」があります。

この「課題」は、「現状」では満足できず、もっと快適であったらいいのにといった「思い描いた姿」に到達していないことで生じます。

日々成長する人、変化する環境において100%満足する現状はないでしょうから、常に「課題」につきまとわれていると言っても過言ではないでしょう。

 

 

「課題」をとりまく「現状」「未来」「戦略」。

あたりまえのことですが、ものごとを解決するということは、解決策を考えることになります。

この解決策を戦略とよんだりします。

これを図で示すと、こんなかたちになります。

時間軸で、思い描いている「未来(目標)」に対して到達していない「現状」があり、「未来」に向けて立ちはだかる「課題」という壁があり、その壁となる「課題」をのりこえる「戦略」で「未来」に到達します。

「戦略」は「略」という言葉のとおり大きな方向性やテーマをあらわしており、「戦略」の詳細となる5W2Hを「戦術」、本当に「戦術」が実現できるかという現場の確認として「戦闘」という情報がある構図になります。

この「戦略」が「解決策」となるわけです。

 

 

「課題」に対してどのようにアプローチしていくかが、デザイン思考とアート思考のちがい。

私は多くの企画を考えてきましたが、上記の図に示したながれは事業を行ううえでは大事なプロセスとなりますが、商品開発販売には限界があると感じています。
ことによっては、デザイン思考も危ういかもしれません。

それは、この世の中が予測不能なVUCA(ブーカー)の時代だからです。

このVUCA(ブーカー)な現代だからこそ、アート思考が必要なのです。

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VUCA(ブーカー)については、前回の記事で詳細を記載していますが、変動性・不安定さ(Volatile)、不確実さ(Uncertain)、複雑性(Complex)、曖昧・不明性なこの現代をあらわした文字です。

だれも、コロナウィルスの蔓延、ここまでの経済ダメージを予測していたでしょうか。

昨年から民泊が話題になりましたが、海外からの旅行客が減り大打撃です。

通常の商品企画ではターゲットを決め、流行の兆しなどの機会に乗じたり、商品の強みとなる魅力を引き出していきます。

2010年以降から商品開発で話題となっている「デザイン思考」。

「デザイン思考」は商品や社会環境がもつ潜在的な「課題」を見つけ、ターゲットに共感的に見出し解決する思考です。

それとは異なり、「アート思考」は「解決」するのではなく「価値の革新」を行い、「課題」から出発しない思考です。

 

不確実な時代に、お客やユーザーを見ていても答えは出ない。

「デザイン思考」はターゲットの共感といった、お客に寄り添った商品開発であるものの、相手の状況に依存した商品といってもおかしくはありません。

VUCAな時代にお客の心理は不安定であり、商品の価値はその不安定な状況に置かれており、いつ心変わりされてもおかしくない状況です。

とくに流動的に変形のできない商品は大きく影響をうけます。

 

 

「差別化」ではなく、「ユニーク」を見つけ出すアート思考。

不安定な心境でも、不安定な環境でも、これが好きっと言われるのは徹底した「ユニーク」であることです。

この徹底した「ユニーク」を生むのが「アート思考」です。

「アート思考」は「未来」を問い続け、そもそも何が「課題」であるか、この商品や作り上げる自分は何でのめり込んでいるのか、この商品をどうしたいのかといった「自分の衝動から価値」を見つけ出していきます。

ですので、通常の「現状」の情報を整理する際に「顧客」を重視するのではなく、「商品」や「自分自身」の情報となる自己動機から、未来とどう向かい合うかによって価値を見出します。

「アート思考」はブランド形成に重要な思考になります。

 

 

「アート思考」はブランド形成に。

現在のアパレルを見ると、バレンシアガのようなブランド名を大きく印字したファッションを多く見かけます。

アパレル業界は低価格の機能性かブランドかという大きく2極化してきています。

ブランドは消費者に、揺るぎない安心と高揚感、そして信頼を与えます。

この関係性は唯一のユニークな世界観だからこそ成り立つものです。

その世界観を構築するのに、「アート思考」が必要なのです。

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