このコロナ禍でモノを大事にしたり、手間を楽しんだり、意味を考える生活が浸透したような気がします。
メディアでもとりあげられ、SNSでもそんな暮らしをしていることを写真に収めて多く発信されていました。
それは、家族みんなで食事を作ったり、ガーデニングをはじめてみたり、整理整頓をしたりと、
外出自粛により自分時間ができ、時間に追われる生活で忘れかけていたものに気づかされたのかもしれません。
自分をいつくしむHYGGE(ヒュッゲ)
このコロナ禍における暮らしの変化は、どこかデンマークにあるHYGGE(ヒュッゲ)に似た暮らし方のように見えます。
HYGGE(ヒュッゲ)は、18世紀にデンマークが誇れるものをと作られたもので、デンマークの生活習慣や文化に大きくかかわる言葉です。
シャーロット・エイブラハムズ著書のHYGGEによると、美しく、ぬくぬく、親密に暮らすことであり、「自分自身をいつくしむ暮らし」と言っています。
デンマークは1年の半分以上が暗くて寒い冬の暮らしをしています。
そんな環境だからこそ、ぬくもりのある心地よいデザインを求められたのかもしれません。
著書は自身を「いつくしむ暮らし」を実践することにより、時間に追われる世界から自身が逃げられる場ができ、自分自身の変化に気づかされ、自分にやさしく暮らせるようになったそうです。
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外出自粛と冬のイエナカ暮らしの共通点
外出自粛による行動制限とデンマークのような寒くて家にいる時間が多い暮らしは、どこか共通点があるように見えます。
まずは、家から出づらいなかでどう楽しむか。
そして、自分時間ができたことでモノや人に向き合い方を楽しみたい。
最後に、本当に大切なものは自分であり家族であるということ。
新型コロナウイルスの影響により、行動自粛、景気低迷、先行きが見えないなど不安な心理状況になりがちです。
そんななかで、どうプラス思考に生きるか模索をし始めているのではないでしょうか。
デンマークが世界一幸せな国といわれています。
この変化の時代にひとつの指標になる文化や習慣かもしれません。
「いつくしむ」は「うつくしむ」から
日本でも古くから「いつくしむ」と言う言葉があります。
「いつくしむ」とは、目下の人や弱い人に愛情を注いだり、かわいがって大事にする意味があります。
「いつくしむ」は、平安時代では「うつくしむ」という言葉でした。
枕草子で「をかしげなるちごの、あからさまにいだきて遊ばしうつくしむほどに、かいつきて寝たる、いとらうたし。 」と書かれています。
これは、かわいらしい様子の子どもが、ほんのちょっと抱いて遊ばせかわいがっているうちに、しがみついて寝たのは、とてもかわいらしいという内容です。
「うつくしむ」は、「いつくしむ」にあるような「かわいい」「愛らしい」のほかに「いとしい」「美しい」「見事」「きれいさっぱり」という幅広いカタチで使われていました。
平家物語で「はじ・かへでの色うつくしうもみぢたるを植ゑさせて」と書かれています。
これは、はじやかえでの葉の色が美しく紅葉したのを植えさせてという内容です。
「うつくしむ」は人だけではなくモノに対しても使用されていました。
この「うつくしむ」が心身を清めて神に仕える意味を持つ「斎(いつ)く」への連想などにより語形が変化し、中世末ごろに「いつくしむ」言葉となり使う用途も絞られました。
自分を「うつくしむ暮らし」へ
日本には「うつくしむ」という相手やモノを想ういい言葉がありました。
この言葉は現代ではあまり使われなくなってしまいましたが、
生活スタイルが変化してきているなかで見直す言葉かもしれません。
「うつくしむ暮らし」を今の暮らしにあらわすと7つのキーワードにあらわせました。
- 大切にする(意味を考える、長く使う)
- 思いやる(他人に、ものに、自然に、もちろん自分にも)
- シンプルにする(厳選、モノもココロも整理整頓)
- 感じる(心が動かされる、五感に響かせる、感動する)
- 発見する(ささいなことでも、もちろん自分のなかにも)
- 分かち合う(他人を巻き込む、役割分担、自分で背負い込まない)
- つくる(愛着がある、達成感を感じる、失敗も楽しむ)
- 間を楽しむ(心に、会話に隙間をつくる、詰め込まない、体に心をあわせる休む日も)
このコロナ禍は自分を見つめ直すいい機会かもしれません。
時間に追われる、コトを詰め込む生活では何を得られたでしょうか。
一度この機会に、自分を見つめる時間をつくってみてはいかがでしょうか。
ほのぼのと心に余裕や隙間をつくりながら、ささいな発見で心がときめくような時間を過ごす、
そんな「うつくしむ暮らし」を始めてみてはいかがでしょうか。