長野県上田駅から南に下った山間部で作られている立岩和紙。
長野県小県郡長和町にある信州立岩和紙の里。
山間部にあり依田川、武石川が流れる水が豊富な場所にあります。
立岩和紙は、およそ300年前から和紙の材料となる楮や桑を地元で栽培し、紙漉きが行われていました。
最盛期には60戸以上の紙漉き農家があったそうですが、現在では多くの職人が引退し2名の方が続けられています。
職人が多く引退するなかで立岩和紙の用具や技術を後世に残そうという声が高まり、昭和59年に信州・立岩和紙の里として建設され、民間の会社によって維持されています。
250名が紙漉き体験ができる最大級の漉場
立岩和紙が力を入れているのは、体験の場。
全国的にも見ることができない250名を収容できる漉場は圧巻で、ホールと呼べるほどの広さ。
窓からは川を見ることができ、自然に包まれた環境で体験をすることができます。
学校の授業での利用などが多く、遠方からの団体も多いとか。
色染した楮を和紙の上に彩る団扇づくり体験をしており、自然から作り上げる創造力を掻き立てるようなプランになっています。この体験方法を参考にしたいと、他の産地からも参考に視察に来られているそうです。
施設は漉場ホール、和紙売場のほかに、工場もあり紙漉きに必要な用具が残されています。
この施設を維持できているのは体験があるからこそですが、現在でも2名の若い職人さんが発注を受けて紙漉きをしています。
長野大学と共同開発マコモを使用した和紙
立岩和紙の職人さんと長野大学の共同開発により、イネ科のマコモを楮と混ぜて漉くマコモを利用した和紙の開発をしています。
マコモは、日本全国で見られ、食品にも使われていますが浄化作用をもつことで知られています。
今までにマコモ和紙や御朱印帳を作ってきたそうです。
マコモは緑色の状態の時に漉くことで、茶色く色が変わっていき経年変化も楽しめ、浄化作用もあることから壁紙などにも利用できるのではないかと期待されています。
先程ご紹介した若い職人の1名は、このマコモも使った和紙の制作に携わった長野大学の方ということで、今後どのような和紙になるのか楽しみです。
本施設には、蕎麦屋も併設されており、おいしい水が豊富な環境だからこそ楽しめる施設になっています。
暑い夏に涼しさと新たな和紙の誕生の息吹を感じに、立ち寄ってみては如何でしょうか。
信州 立岩和紙の里
〒386-0603 長野県小県郡長和町古町22-1
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