11/30・12/1・2 手漉き和紙絵巻『鳥獣戯画〜手漉き和紙ができるまで〜』展開催

Withコロナ時代の企画(2) 三密の先

新型コロナウイルスは、人から人へと感染をひろげる人間のコミュニケーションに脅威を与えるような存在です。会話するにも今までの距離では抵抗感があったり、換気がされている空間であるかなど下調べをしたりと人々の行動に変化を与えています。

令和2年5月4日の安倍首相の記者会見でも述べられた「感染拡大を予防する新しい生活様式」では3密の回避が含まれています。公に人々の行動の規制をかけられました。

3密(3つの密)とは、密閉、密集、密接から名づけられた言葉です。
密閉とは、窓がなかったり換気ができなかったりする場所のこと。
密集とは、人がたくさん集まったり、少人数でも近い距離で集まること。
密接とは、互いに手が届く距離で会話や発声、運動などをすること。
になります。

 

6月1週目の休日、行楽やショッピングを楽しむ方が多く現れたが…

このような規制がされるなかで、人々は行動を自粛するだろうと思いきや6月1週目の休日、街には多くの人が出歩き買い物を楽しまれたり、車は大渋滞という状態でした。店舗経営者のなかにはお客が戻ってきた、コロナの影響はないと安心された方もいらっしゃったようですが、私はこれは一時的なものと考えています。

とくに外出自粛していたことで、外に出たいという欲求から、また10万円の給付金が出た、外出自粛時にお金を使うことがあまりなかったということからこのようなことが起きたと捉えています。私もプラス思考の方向で考えたいところですが、店には密集を避けるための人数制限やこの多くの人が外出した時にでもお店に人が入っていないところを多く見かけました。

私の見立てでは、ここから梅雨に入りますのでまた外出する方が減り、夏にまた家を飛び出すものの子どもたちの授業が滞っていることから夏休み期間は短くなるため、通年の需要ほどまでは到達できないと予想しています。よくて通年の6.5割需要ではないでしょうか。そして秋に突入し、台風がまた来ることを頭に入れておきたいです。

そんななかでどう生き残っていくか問われます。

 

お客が入っている店と入っていない店がでた理由

先にこの6月の休日に人々が街に出て買い物などを楽しまれた際に、お客が入っている店舗と入っていない店舗の差は何があったのでしょうか。

この外出自粛時に、消費者の心理がどう変化したのでしょうか。

実はこの外出自粛時に消費者は断捨離と言われる無駄なものを売りに出したり、捨てたりという行動を起こしている方が多く見受けられました。買取サービスの会社はフル活動していたようです。

家の中にずっといること、今後の不安などから消費者は自身を見つめ直し、「無駄」に関して考え始めています。

無駄を考え始めた消費者は、「とりあえずここでいいっか?」「なにかに使えるかも?」という消費はなくなります。

居酒屋でもここ空いてるから入ろうではなく、換気大丈夫かな、ここの店長いいんだよねとか明確な理由(why)が必要になってきます。

ですので、その店に明確な「理由(why)」が大事になってきます。

 

「理由(why)」を追求できていないお店や商品が山のようにある日本

海外に行って思うのが、日本はお店がありすぎ、お土産商品がありすぎ、似たものがありすぎです。

生産性が悪い日本と言われますが、コピー商品が多いです。

流行を追いかけて商品をつくって売るというのは、日本の論理的思考だから起きてしまうのかなと考えています。

この話はまた別の機会にさせていただきまして、今回お客が入っていたお店はどのようなお店だったのでしょうか。

大きく3つのポイントがあります。

それは、当たり前の「3密対策」、そしてwhyが問われる「本質」、仲をつなぐ「恋着(れんちゃく)」です。

 

当たり前の「3密対策」を見える化できているか

どこの店も3密対策であったり、衛生対策をしていると思います。ただし、それがちゃんと消費者に届いていなければやっていないのと同じ価値になります。まず消費者は検索してお店を調べます。ということは、サイトやインスタグラムに表示しておくことは大前提です。とくに地下やビルの上の階層のお店だったら必須でしょう。
また、店員さんがフェイスガードをしていたり手袋をしていたり見かけます。必要かと思いますが、この容姿によりお客さんと距離を置く関係になってしまい、今までの価値観でのコミュニケーションができなくなります。それをどのようにフォローするかが問われてきます。

日本ではフェイスガードや飛散防止パネルを作ったりして対応していますが、フランスのデザイナーが考えた人々が同じテーブルに着くためのライト兼ガードはショッキングでした。


フランス人デザイナーのクリストフ・ゲルニョンが考案した、新型コロナウイルス以後に、人々がレストランの同じテーブルに着くための装置「Plex’eat」の写真がdezeenに掲載されています

www.dezeen.com

 

お客さまが一番安心して、かつ食事を楽しめるかという点をクローズドアップしてデザインしたそうで、「食事を楽しめる」という着眼点がとても大事です。

これが「本質」です。

 

美容室は髪を切りに行くが本質?

皆さんは理容室や美容室に行くのに、何を求めていきますか?

「髪を切りに行っている」という答えは本質ではありません。それは「方法(How)」です。

では質問を変えまして、どうしてそのお店に髪を切りに行っていますか?

「綺麗、可愛くしてくれるから」「お話してて楽しいから」「担当が好きだから」「自信をもたせてくれるから」などあるかと思います。

ここに本質があります。お客様はそのお店に行くことで気分がアップするから、癒されるから、スッキリするからといった感情的な結果があるから行きます。

「価格が安いから」と答える方もいるかもしれませんが、いくら安くても清潔感がなかったり、店員の態度が悪かったり気分が悪くなるので行かないですよね。

この感情の結果が「本質」であり、本質が明確なところにお客さんは行きます。

この感情の結果となる「本質」を見える化するのはなかなか難しいです。

これを体感させるのが「恋着」になります。

 

お客さんとの仲を構築する恋着(れんちゃく)

この休日にお客が入っているお店は、間違いなく恋着の担保をもっていたお店です。

この外出自粛前にどれだけお客さんに本質を提供して絆を深めてきたか、外出自粛時にお客様の本質に応える情報発信をしてきたかで差が出ました。

ここで「恋着」という言葉を使っていますが、一般的にはエンゲージメントや愛着心と言われています。

愛というよりも恋の方がお店や商品との関係性があっているかと思い使っています。

外出自粛時に「コロナ対策を社員全員で考えています」とかお客のための姿勢や、家でできるそのお店の簡単メニュー公開といった家でお店を体感できるなどありました。

このような情報発信をしていることで恋着の担保が継続され、お客は外出自粛が解除された際に答え合わせに訪れます。

 

リアルとネットの世界の両立がポイント

今までもサイトを作って、SNSを配信してお店に来てもらう、通販で買ってもらうという「方法(how)」はどこでもしていたかと思います。しかし、今回の件で差が出たのは「本質」と「恋着」にありました。

ネットで仮体験、リアルで本体験というながれで、お客さんは本質の答え合わせに本体験に来ます。

インスタグラムに写真を載せるといった方法にとらわれて本質がなければ、運任せか、情報のゴミとなってしまいます。

アパレルショップはリアル店舗を閉鎖してネットショップに移行するという報道もあがっていますが、冒頭に話しましたが消費者は「無駄」を知ってしまいました。

ですので、そもそも「本質」のないものそれも「そこだけの本質」でないものは無駄と思われてしまいます。

まちがいなく消費者の視界内に入る似たものやコピーものは選ばれなくなります。

アパレルもリアル店舗で試着してもらわないと買ってもらえないだろうという認識でリアルの比重が8割以上でした。

これを最低でもリアルとネットで半々にしていかないといけないでしょう。

これからは、このリアルとネットの両輪をうまく回して行かなければならない時代になります。

選ばれる理由となる「本質」「恋着」を見直してみてはいかがでしょうか。

 

 

このWithコロナという予測不能な世界で生き抜くには企画力が求められます。

その企画力とは、「寄り添うコミュニケーション力」「大胆かつ柔軟な発想力」「追求する粘り抜く力」「スピーディーに行動する機動力」になります。

企画屋かざあなは、みんなで企画を考え実行に移す場です。
とても明るく、楽しんでやっています。

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