11/30・12/1・2 手漉き和紙絵巻『鳥獣戯画〜手漉き和紙ができるまで〜』展開催

「用の美」「感の美」をもつ伝統工芸の7つの要素

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除されたとは言うものの、まだまだ油断はできない状況です。また、今後第二波の到来、他国のように再度外出自粛要請がかかる可能性も多くあります。
外出自粛により国内での人の行き来も少なくなり、また海外からの訪日制限もかけられ観光業は苦しい状況にあります。また、アパレルに関しても春物は一切店頭で売ることができなかったため、在庫を多くかかえてしまっています。これから2008年に起きたリーマン・ショック以上の不況が来るのではないかとまで言われています。
今まで伝統工芸品は、さまざまな環境の変化によりその文化を残してきています。近年では、嗜好品として売買されていたり、インバウンドのお土産やレンタルで来てみたり使ってみたりして楽しむなど親しまれてきていました。
しかし、この新型コロナ・ウィルスの影響により伝統文化が残る観光地へのインバウンド客はいなくなり、どのようにして生き残るか考えなくてはならない状況です。
この外出自粛期間に、反物や和紙を使ってマスクを制作して販売するところも多く見受けられました。
今後どのようにして文化を残していくか、この時代の変化にあった伝統工芸はできないかを模索するためにも一度立ち止まって、伝統工芸のポイントをおさらいしていきます。

工芸品と民芸品のちがい

観光地に行くと、地域の博物館や歴史館などがあり、民芸品や伝統工芸品といった言葉が使われているのを見かけます。あまり一緒に掲げられていることが少ないことから、みなさん意識をしてまで考えたことがないと思います。いずれもその地域の歴史的風土から生まれたものになります。

民芸品とは造語のようで元は「民衆的工芸品」と呼ばれ、民衆のなかで生まれ日常的に使われている手工芸品のことをいいます。

工芸品は、特殊な技術が使われ造形美術品のことをいいます。

 

伝統工芸品とは、「用の美」「感の美」をもったもの

伝統工芸品は、伝統的に技術を継承してきている造形美術品をいいますが、伝統的工芸品という言葉もあり、こちらは伝産法という法律で決められた呼び名で指定を受けたものを伝統的工芸品と呼ばれています。

→過去の記事「伝統工芸品って現在何品目あるか知ってますか

この「的(てき)」と入っているのは、その持ち味を維持しながらも、産業環境に適するように改良を加えたり、時代の需要に即した製品作りがされているため、本来の伝統工芸品から改良されたものになります。

工芸品の造形美術という要素は陶磁器、漆器、織物・染物、木工品など観賞用のイメージが強いですが、なかには、着物や和傘、足袋など日常の暮らしでも使用できる品も多くあり、造形美術をまとったり使用する用途にも使われています。伝統工芸品には「用の美」と「感の美」を持ち合わせています。

 

伝統工芸品の7つの要素

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伝統工芸品には大きく「自然」「技術」「土着」「時間」「信頼」「偶然性」「美」といった7つの要素があります。

伝統工芸の7要素

 

 

「自然」
伝統工芸品の多くは、土や木など自然からの恵みを素材にしたものが多いです。これは歴史的に科学的なものが少なかったこともあります。陶器では土、織物では蚕からつむいだ絹、木工品は木、和紙は植物、染め物は草木や土といったように自然から作られていることから、逆に言えば自然に還りやすい品になります。
サステナブル(人間・社会・地球環境の持続可能な発展)な取り組みが進められているなか、環境に優しいことは今後より求められる点になるでしょう。

「技術」
自然等の素材を形に仕上げる職人の手わざになります。手作業だけではなく機械を使用するものもありますがカタチにしあげる技術は何十年も修行が必要とするものが多いです。例えば手漉き和紙であれば均等に漉けるようになるのに10年はかかるそうです。

「土着」
その土地に長く住み着いていること。その地で生まれ、その地ならではの環境だからこそ作りあげられます。例えば土壌であったり、川が近く水が豊富に使えたり、気候、風土や習慣なども関係してきます。

「時間」
昔から現在にかけて多くの作家や職人さんにより技術が伝えられてきました。伝えられてきたなかでも時代は色々様がわりしてきたなかで、その時代に合わせて変化したもの、維持してきたものと多くの職人さんの苦労があったかと思います。また、技術を習得するにもかなりの時間を要するとともに、作品を制作するにもかなりの時間を要します。歴史として、修行として、制作として多くの時間を要しています。

「信頼」
作家さんや職人さんが創り上げることで顔が見える品です。
また、作家さんや職人さんは日々創作活動のなかで技術と感性を磨き上げており、次々と新たな作品ができ、この作品が生まれるまでのストーリーがあります。職人さんの顔が見え人の手で作られ、地域に根ざしており、自然から作られているという信頼ある品です。

「偶然性」
自然からカタチにするにあたって、どんなに技術があっても100%思ったものになるとは限りません。また、新たな作品を創作するにあたって様々なチャレンジから新たな表現やカタチが生まれています。

「美」
工芸品は造形美術と先にも記していますが、使用することの「用の美」と鑑賞することの「感の美」があります。これは他の要素が兼ねあって到達する最終的な結果として美として形に現れます。

企画屋かざあなではこの要素をピックアップし伝統工芸品を「自然と人の感性・技術の奇跡から生まれ、触れる者に、創る者に新たな感性を目覚めさせるアートである”伝統工芸品”」と言っています。

伝統工芸品を見た際には、7つの要素を抑えて見ていただけるとより、深い理解と愛着が湧くかと思います。

 

このWithコロナという予測不能な世界で生き抜くには企画力が求められます。
その企画力とは、「寄り添うコミュニケーション力」「大胆かつ柔軟な発想力」「追求する粘り抜く力」「スピーディーに行動する機動力」になります。
企画屋かざあなは、みんなで企画を考え実行に移す場です。
とても明るく、楽しんでやっています。
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感性を育む伝統工芸の商品企画の現場にいることで、企画の醍醐味を味わえるかと思います。

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