新型コロナウィルスにより多くのメディアやSNSで、もう元の生活には戻れないだとか、アフターコロナの社会はどうなるのかという話題が多く飛び交っています。
ウィズコロナとは、緊急事態宣言真っ只中の今もそうですが、緊急事態宣言が解かれても完全に収束までに至っていない世界。そして、アフターコロナは新型コロナウィルスが収束したあとの世界ということになります。
すでにウィズコロナを通り越してアフターコロナの話まで進んでいますが、ワクチンができ完全に収束するまでまだまだ時間がかかり、ウィズコロナ時代をどう生き残っていくかが企業の一番の問題かと思います。
如何にしてこの状況下を耐えて生き残るか、アフターコロナを見据えて変化して乗り越えるか、緊急事態宣言が解除された時にこの舵取りはとても重要になってきます。
あまりマイナスな情報の発信は企画屋としてはしたくありません。
チャンスとなり得る気づきをお渡しできたらという姿勢で、緊急事態宣言が解除された生活のなかでの各業界の変化や、
現在すでに試されている取り組みをまとめてみました。
テレワーク関連での影響
すでに多くの方が仕事だけではなく、授業やオンライン飲み会などプライベートにまで浸透してきています。
東日本大震災でツイッターやLINEなどのSNS使用者が増えたように、映像での伝達ツールの使用が加速し一般的になります。これにより影響が出るのが、おもに「不動産」「デリバリー」「家中娯楽」などがあります。
「不動産」
居住用の不動産は、都心勤務者が都心部に通勤する回数が減り通勤時間をあまり気にしなくても良くなります。その結果、土地価格が安くてコストパフォーマンスの良く、ゆったりとした郊外居住でも良くなります。
事務所用の不動産は、事務所に常時社員がいなくても良いことからコンパクトな事務所を採用する企業が増えます。
また、アパレルショップはショールーム化が進みます。
現在アパレル業界のEC化は売上的に1〜2割ほどで、ユニクロでさえ1割ちょいです。
店舗をショールーム化し購入商品は後ほど郵送するシステムにすると、お店の商品在庫を減らせスペースをコンパクトにできることで賃料が安く済みます。
インバウンドも見込めない以上、都心部はよりコンパクトなショップになるでしょう。
それに伴い、空き事務所やスペースが増え大家さんは大変かもしれません。ただ、既存の路面店などハードはそう簡単には入れ替えることはできないでしょうから、店舗のレイアウト変更などでリノベーションや店舗開発会社が忙しくなります。また、2社以上の企業同士がコラボレーションで、今まで広く使われていた一つの空間をアパレルとスポーツのような2社でシェアした店舗にすることでwinwinな関係で消費者を誘引するところが出てきそうです。
「デリバリー」
家で働くことにより、今まで勤務地の近くで昼食を食べていたのが、家で食べるもしくは家の近くで食べる機会が増えます。
すでに商店街と銀行やデリバリーアプリがタックを組んで取り組んでいる地域もあります。
(墨田区商店街連合会)
デリバリーはきっかけで、お店にも行ってみたいという行動につなげていきたいです。
家で集中できない、気分転換をしたいということで、デリバリーを頼んだお店に行ってみようと思わせるようなコミュニケーション形成がポイントになります。ただ食事を届けるだけではなく、ワインや日本酒の飲み比べ、日替わり、週替わりメニューの変更、体調管理、手紙を添える、食材の情報、SNSとの連携など少し踏み込んだサービスやメニューでお客様を引きつけてみてはいかがでしょうか。
「家中娯楽」
家のなかで楽しむのに、YoutubeやNetflixなど映像コンテンツの視聴が増えたようですが、その他にゲームが多いようです。この外出自粛時期にYoutubeチャンネルを開設する方が急増し、撮影用ライトはすぐに手に入らない状態になっています。時間ができたことで映像を見る受け身ではなく、個の発信が強まっていくかと思います。これにともない機材購入や映像制作ソフト、マニュアル、そして家中の服装は大きな需要になるかと思います。
(amazonでの自撮りライト)
とくにインスタ映えを狙いブランド名を大きく打ち出した服装が流行りましたが、映像に映える映像連動型のデジタルな服や、コスプレなんてのも。家の中のインテリアも気にするようになるかもしれません。
また庭になりますが、家庭菜園に関する道具が売れています。家の中だけではなく庭でキャンプや農園、菜園、狭いところでできるスポーツが注目を浴びそうです。
3密関連での影響
密閉、密集、密接に関しては、新型コロナウィルスがだいぶ落ち着いたとしても継続的に協力要請が出るかもしれません。
要請が出なかったとしても、消費者の心のなかでは抵抗感として行動にあらわれてしまいます。
オウチーノ総研による2016年の潔癖に関する調べでは、男性の4割が潔癖の傾向があるというアンケート結果が出ています。
(「『潔癖男子』に関するアンケート調査結果」)
この新型コロナウィルスでより潔癖意識がもっと高まるのは間違いありません。
「マスク」
医療用に使い捨てマスクを回して欲しいという思いや、使い捨てが購入できないという状況から手づくりのマスクが早々に出回りました。
この手づくりマスクを作る日本については海外でもびっくりしたようですが、いち早く動けたのは小回りの聞く服飾店でした。まだ緊急事態宣言が出る前からお店でマスクづくり体験を行うアパレルがありました。また、各地で伝統工芸の着物や和紙を使ったものがでて売れています。社会的意義を持ってすぐに行動を移すこと、小回りがきくことの重要性が浮き彫りになりました。
今では気持ちがあがるお洒落なものまで出てきています。
「マスク」で影響を受けるのが、化粧品や飲食、服装になります。
新型コロナウィルスが収束しており休日の余暇やショッピングを楽しんでいる韓国でも化粧品の売上が落ちているそうです。口を隠すことが影響しているからかは今後の動向によりますが、顔の一部が隠れるというのは化粧品業界は痛いところです。しかし食べるときにはマスクを外すでしょうし、マスクにつかない口紅も気になるところです。テレワークで映える化粧なんて言うのも良いかもしれません。また、マスクにより肌荒れが起きたり、眼鏡が曇る、話が聞き取りづらいなど多くの問題が出てきていますので、機能性マスクが求められてくるでしょう。
「空気清浄」
自宅用が売れているようですが、店舗でも導入を検討しなくてはなりません。
室内の空気清浄機だけでなく、入口で空気噴射により吹き飛ばす装置なんてのも考えられます。周りに迷惑のかからない吸引でもいいと思います。
「除菌」「殺菌」ツールは間違いなく売れるでしょう。
とくに新型コロナウィルスは固いものに長時間くっついているみたいですので、スマホの画面に貼っておける除菌シールなんてのがあると触ることが多いので安心感から売れそうです。
「スポーツ」
選手は事前検査が必須になるでしょうし、試合後はすぐに消毒する機器が設けられると思います。
密閉空間で行っている卓球やバトミントンは体育館ではなく狭い空間で試合を行い、観客は映像やVRで見るということも一時的にはしなくてはならないかもしれません。デンマークでは無観客試合なのですが、球場の外に大画面を設置し車の中から観戦するというやり方をテストしています。
(無観客試合対策で「ドライブインサッカー観戦」計画)
アマチュアスポーツは機器を揃えることは不可能です。携帯できるファブリーズ的なものやシャンプーやボディーソープも殺菌力のあるタイプの訴求で売られる商品が出てもいいかもしれません。緊急事態宣言前の3月に行われたアマチュアのサッカー大会の試合では接触してはいけないというルールのなかサッカーをしてました。ルールも当面は少し変更になるのはしょうがないかもしれません。
中国では体育の授業でマスクをして運動をした生徒が死亡する事故がおこりました。スポーツ専用のマスクは必須かもしれません。
「イベント」
コンサートやライブでは多くの観客と一体感が生まれることで盛り上がるものです。
イベントはエンターテイメントですし、アーティストが試行錯誤して新たなカタチが生まれるかもしれません。すでにライブ配信し視聴者から投げ銭をもらうようなライブが試行されてきています。また、収束するまで我慢するために、クラウドファンディングをして収束後のサービスを約束し資金を集めている取り組みも見られています。
(youtube投げ銭)
観客席を絞って公演できるような演劇は観客数との収支を考えなくてはならないので演出やキャスト数も考えないといけないかもしれません。キャストを減らすのに映像や音で表現するなど表現力が問われます。
結婚式場は、演出次第では実施可能かと思いますが、もしかしたら出張サービスやライブ配信なんて行うところも出てくるかもですね。
縛りや現実からの逃避行動
自分がしたいことを拘束されたりすると、現実から逃げたくなる感情が生まれます。
また、我慢していたことにより爆発的に行動を起こすことがあります。
お酒であったり、バカンスであったりと現実から違う世界へいくような行動が出てきます。
実際に、収束している中国では観光地で人がいっぱいですし、韓国では買い物で賑わっているようです。
飲食、物販、観光地や行楽地は収束後に来る需要に向けて早々に対策を考えておくことが必要です。
「観光業」
今まで外国人をターゲットにしていた商売が、日本人をターゲットにすることになります。今までにない体験ができる取り組みやお土産品を考えなくては一過性になってしまい、また訪れてくれなくなってしまいます。
とくにテレワークがはじまり、引っ越しを考えていたりすると、「観光」をきかっけに「移住」につながる可能性があります。
リクルートの調査によると、テレワークを始めたことで引っ越しを検討している人が約3割いる結果が出ています。
(リクルート「テレワーク×住まいの意識・実態」調査)
観光客が人とのふれあいが恋しくなっている分どれだけ人間味を出し、コミュニケーションをとれるかがポイントになるでしょう。
若い世代には伝統工芸や風景が新しいということもありますので、観光客の動向をしっかり観察し地域の魅力の再発見につながるといいですね。
「趣味・嗜好品」
何かを我慢してでも「趣味・嗜好品」に支出を増やす方が増えます。
とくに外出自粛が解かれたときには、ネットでは買えない、ネットで買うのは面白くないものに多くの人が流れます。今までの外出自粛生活であまり出費していなかった分を支出してしまう方がいます。例えばファンなのにその店に行けなかったけど、やっと会いに行けるというカタチで、以前からのファンが駆け込みます。ファンを呼び戻すためにもこの収束までの期間にファンに向けての情報配信をまめにし、気持ちをとどめておくようにコミュニケーションをしておく必要があります。
また、今までネット販売をしてなくファンとの縁が切れてしまっている店舗は、ネットショップを立ち上げることを検討しているかと思います。路面店のように自社ショップサイトを立ち上げるか、それともモールのようなamazonや楽天、Yahooショップで立ち上げるかの判断はとてもむずかしいです。結局、お店があるよっとチラシを折り込むようにWEB広告が必要になったりしてきます。WEB広告費をおさえるためにもSNSの活用は必須です。
※本サイトのかわら版にて記事がありますのでご参考にしてください。
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「VR、アバター」
モノを買わなくて良い、本来の姿を知らずにコミュニケーションができるなど、辛い現実よりもバーチャルのなかに身を委ねる方がでて来るとともに、ここのマーケットが拡大することは間違いないです。すでに伊勢丹が服や靴をバーチャルで販売を開始しています。実態のあるものは買わないけど仮想では買うという方々が出てきます。アパレル関係はとくにリアルとバーチャル両輪で展開すると良いかもしれません。
(バーチャルマーケット)
だいぶ長くなってしまい、
上記の一つ一つについても、また他業界や分野についても書き足りませんが
まとめると間違いなく、
・潔癖化
・コンパクト、スリム化
・加速化
・ムリムラムダの排除
・逃避行動
と言った点で人々の行動変容及び企業や社会の変化が起きると考えています。
ただ、あまり期待してはいけませんが
・人恋しい
・回帰欲求
・現実逃避による油断
・経済重視
という人間味のある行動が起き、劇的変化がいらないところもあるかもしれません。
まだまだ多くの影響と考えられる策がありますので、また投稿したいと思います。
上記の事例などで、みなさまの事業のヒントや気づきになれば幸いです。
本記事は、かざあな+として会員向けの記事を公開させていただきました。